2014年8月14日木曜日

能と邦楽のススメ 宝生能楽堂


案内と解説

尺八
箏曲
長唄

一調 「野守」 関根知孝    観世元伯

仕舞 「玉之段」 武田孝史
  地謡 辰巳満次郎 野月聡 大友順 水上優 

舞囃子 「羽衣 和合之舞」 観世清河寿
  囃子 藤田次郎 曽和正博 佃良勝 観世元伯
  地謡 関根知孝 浅見重好 藤波重彦 清水義也 高梨万里

能 「忠信」シテ 宝生和英
      ワキ殿田謙吉 ツレ 高橋憲正
      従者 朝倉大輔 藤井秋雅
      法師武者 小倉健太郎
      武者   小倉伸二郎 和久荘太郎 東川尚史
           川瀬隆士 辰巳和麿 木谷哲也
      囃子 藤田次郎 曽和正博 佃良勝
      後見 武田孝史 金野泰大
      地謡 田崎隆三 辰巳満次郎 野月聡 大友順
         水上優 澤田宏司 亀井雄二 佐野弘宜

 


最高気温356度だったけれど、気合いで着物を着て行ってきました!

楽しかった~!


解説の後、尺八&箏曲&長唄の演奏。
あまり生で聴く機会がないので、新鮮でした。
休憩の後、お待ちかねの能楽コーナー。

 

一調の太鼓は、敬愛する観世元伯さん。

太鼓変えた?って思うほど、普段の演奏の時と音色が違う。

普段は教会の鐘のように空気を浄化するような金属質の音色なんだけれど、

(曲によってはガラス質の風鈴のような時もある)

この日の一調では、もっと硬質で抑制された重い感じ。

でも、相変わらず痺れるような掛け声。

 

仕舞の武田師は、いかにも武家の能といった風情。
地謡も聞き取りやすく、朗々としていてよかった。
大友さんの謡は特に好き。

 

そして舞囃子。

観世宗家の十八番ともいえる《羽衣》。

端正で、格調高くて、きれいだった。

 

観世宗家の場合、能の《羽衣》よりも舞囃子のほうが好きかも。

能がフルコースだとすれば、
舞囃子は、何もつけずに、素材をそのまま味わえる。

足の先から指の先まで、ひとつひとつの動きをじっくり堪能できる。

宗家の丁寧な舞の醍醐味を味わうにはやはり舞囃子がいい。




《忠信》は初めて拝見するけれど、宝生宗家は何年か前から
何度も演じていらっしゃるので、いわば十八番のようなもの。
直面物だし、上演時間が短いから、夏(特に薪能)にはぴったりですね。


囃子方と地謡が着座した後、背後で音がするから、
作り物でも運んでくるのかなと思って、橋掛りの奥を見ると、
義経役の高橋憲正さんが従者を引き連れ、しずしずと進んできます。

登場楽はないので、いつの間にかという印象。

その後、義経は脇座で床几に座り、従者たちも横に控えます。

ワキの伊勢三郎(殿田さん)も登場楽なしで登場。
当山の者たちが心変わりをして義経に夜討ちをかけるので、
義経に逃げるよう進言。


義経と三郎のやり取りの末、防矢を射るのは佐藤忠信が適任ということになり、
いよいよ忠信が登場!

とにかく、スピードが命のこの曲。
シテの忠信の登場の時も、登場楽はなしで、どんどん話が展開していきます。

どこまでも殿についていきたいと辞退していた忠信も
「御意をばいかで背くべき」と最後は承諾し、
「不覚の涙をさへて、御前を立つ」。

ここでシテが少し舞ってから、ツレと従者とワキは退場。


シテは地謡前で物着なのだけれど、ここはほとんどセルフサービス状態。
後見は弓矢を渡すだけで、あとはシテの御家元が自分で鉢巻をセットしたり、
半被を脱いだり……
直面でよく見えるから、おそらくこのほうが素早く着替えられるのだろうけれど、
シテは大忙し。

その後、立衆がずらりと橋掛りに勢ぞろい。
ここで初めて一声の登場楽。

「吉野川、水のまにまに騒ぎ来て、波打ち寄する嵐かな」という
立衆の謡が詞通りの大音響。

夢ねこはいつものように脇正面に座っていたので迫力満点。

シテは脇正に置かれていた一畳台に上って弓矢を打ちます。
この型がかっこいい!

立衆が1人ずつ忠信に斬りかかり、痛快な立会のはじまり。
とにかくテンポが良くて、爽快。

なかには、本舞台から橋掛りへ欄干を越えて飛び移ったりと
アクロバティックな演技が続きます。

川瀬さんの仏倒れもきれいに決まって、心の中で拍手喝采。


宝生宗家の若さと身軽さが存分に生かせる演目で、
能の初心者も絶対に楽しめるスカッと爽やかな一番。
あっという間に終わっちゃったけれど、文句なしに大満足

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