2014年12月6日土曜日

青嶂会・味方團師社中会


先月末に一週間ほど関西に帰省したのだけれど、実家の用事だったため、
能楽堂へは足を運べず。
(実家も私の関西の家も、京都観世会館と大槻能楽堂のほぼ中間に位置する好立地。)


東京に戻ってきたら、腹部の激痛に襲われ救急車で搬送されて入院(結石だった)
というドタバタがあったあとようやく平静に戻り、久しぶりに能楽堂へ。


渋谷のセルリアンタワー能楽堂で行われた味方團さんの社中会へ行ってきました。

林家一門+味方玄さんという構成メンバー。


地謡のレベルが非常に高くて、能や素謡はもちろん、仕舞でも舞囃子でも、
ぐんぐん曲の世界に入っていける!!
もう夢見心地で、休憩を取るのも惜しいくらい。



地謡のメンバーがどの組み合わせでも朗々としていて聞き取りやすいので、
きっと謡の巧い精鋭ぞろいなのだろう。
(夏の「東西合同研究発表会」にご出演された河村浩太郎さんと樹下千慧さんもいらしていた。



社中の方も皆さんお上手で、お能《百万》のシテをされた方も巧かったし、
舞囃子《阿漕》を舞われた方はセミプロ並みで見応えがあった。



囃子方も若手の名手がそろっていて、
特に舞囃子《融・舞返》はロック魂炸裂していて、最高にカッコよかった!!




それから素謡の《安宅》では強力と太刀持に狂言方の
深田博治さんと高野和憲さんもご出演されていて、なんとも贅沢。
            
                                      

                    
同山役には、林宗一郎さん、河村和貴・和晃、浩太郎さん、
地謡には林喜右衛門さん、味方玄さん、河村和重・晴久さん、樹下千慧さん
と豪華な布陣で、謡だけでもこんなに迫力ある世界を堪能できるのだと、
謡いのパワーとともに京観世のパワーを改めて実感。




そして、そして、なんといっても番外仕舞が凄かった!
                     

                      

まずは林喜右衛門師の《鐘ノ段》。
喜右衛門さんの舞を拝見するのは昨年の喜右衛門さんの社中会ぶり。
このときは《乱》の双之舞を宗一郎さんとされて、
それが林父子のファンになるきっかけだった。
今日の仕舞も鉱物の結晶のように凝縮された、この上なく完成度の高い舞。
足拍子をしても、頭の位置は微動だにしない。

                 
どうしてこの方をおシテにした能を国立能楽堂主催の公演でしないのだろう。
(国立能楽堂主催の公演って、出演者に偏りがあるといつも思う。「国立」なのに……。関西にも名手が大勢いらっしゃるので、もっといろんな方を出してほしい。)



次が、林宗一郎さんの《歌占》。
宗一郎さんの舞を拝見するのは、坂口貴信之會以来。
          

若手の中では人気・実力とともに坂口貴信さんと並ぶ西の雄だけれど、
洗練度では宗一郎さんのほうが高いと個人的には思う。
(芸風の好みかもしれないけれど。)
まだまだ先だけれど、1年後の12月19日に梅若能楽学院で《山姥》を
されるそうなので楽しみ。



そして、味方玄さんの《錦木》! 
玄さんの舞は来年のテアトル・ノウまで拝見できないと思っていたので、
ほんとうに嬉しい! 神様、ありがとうございます!
                            

陶酔するように幸福感に包まれて拝見していたら、
あっという間に終わってしまった……。
覚むるや名残なるらん。
5月の《三輪》をひたすら待つばかり。




それから父君・味方健師の《柏崎》。
健師はたしか80代だったと思うけれど、
この年齢でこれほど衰えの知らない能楽師(狂言師は除く)を私は知らない。
手の震えはまったくないし、身体の軸がまったくブレない。
ハコビがとても美しい。
関西の能役者さんって、凄い方がほんとうに多い思う。
東京のお能ばかり見慣れた目には、良い意味で驚異的だ。



そして最後は主催者・味方團さんの《高砂》。
力強さよりも繊細さが勝る、馥郁たる香りが漂ってくるような華やかな舞。
とても長い一日、しかもアウェイでの社中会開催はご苦労の連続だったと思います。
でも夢のような一日でした。
私にとっては、サンタさんからのプレゼントのような素敵な素敵な社中会。
                           

團さん、ご出演された皆さん、ありがとうございました!


追記:林定期能や片山定期能の東京公演があったらいいのに。
今日も見所は最後まで盛況だったし、ぜったいに需要は高いと思うのだけど。
テリトリーの問題とかがあるのだろうか……。
交通費のことを考えると、チケット代が少々高くても「行きたい!」と思う人は多いはず。

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