2015年6月17日水曜日

第7回 青翔会《竹生島》

2015年6月15日(月) 13時開演    国立能楽堂

狂言小舞 《宇治の晒》 石坂正義
     《鵜の舞》  上杉啓太
  地謡 野村万蔵 河野祐紀 能村晶人


舞囃子 《小袖曽我》 本田芳樹 本田布由樹
       高村裕 清水和音 大倉慶乃助
  地謡 金春憲和 中村昌弘 政木哲司 中村一路


舞囃子 《邯鄲》 佐野弘宜
     小野寺竜一 曽和伊喜夫 亀井洋佑 澤田晃良
  地謡 今井泰行 辰巳満次郎 野月聡
     佐野玄宜 金井賢郎


狂言 《柿山伏》山伏 野村虎之介 畑主 能村晶人
       後見 野村万蔵
     小野寺竜一 曽和伊喜夫 亀井洋佑


能  《竹生島》シテ 安藤貴康  ツレ 小早川泰輝
    ワキ矢野昌平 村瀬提 村瀬慧  アイ河野佑紀
     熊本俊太郎 岡本はる奈 柿原孝則 金春國直
  後見 観世銕之丞 山階彌右衛門
  地謡 観世芳伸 浅井文義 浅見重好 清水義也
     木月章行 青木健一 竹田崇史 久田勘吉郎



久々の完売満席の青翔会。


狂言小舞は、初舞台の石坂正義さんと上杉啓太さん。
仕舞っぽいけれど、仕舞との違いは、角でカザシ扇などないところとか、いろいろ。
でも、紋付き袴で舞うせいか、常の狂言よりもキリッとしている。


金春流の舞囃子《小袖曽我》
リアル兄弟で息もぴったり。
地頭の金春憲和さんは、前回の青翔会の舞囃子でも注目していたシテ方さん。
今回も独特の謡ではあるけれど、とてもよかった。

布由樹さんは、あの体型でこれだけ舞えるのは凄いと思う。
逆にもう少し身軽になったほうがもっと素敵になるだろうし、
腰や膝を傷めずに済むだろうから、この夏はダイエット、がんばれ!



宝生流の舞囃子《邯鄲》
シテも囃子も地謡もとても良かった!
特に澤田晃良さん、さすがは元伯さんのお弟子さんだけあって、打音の響きも掛け声も良く、撥皮を外す粒もほとんどなくて正確な演奏。
去年の東西合同研究発表会のときも上手い思ったけれど、さらに前進されていた。
盧生が夢から覚める時のクライマックスで転調するところも、ドラマティックに盛り上げて観客を惹きつけていた。



能《竹生島》
これもよかったです。
なんと言っても、いちばん良かったのが、笛の熊本俊太郎さん。

個人的に、笛の流儀の中では森田流寺井家の笛がいちばん好きで、
以前、熊本さんの笛を聴いた時、
(久八郎家のお弟子さんだけれど)、中谷明そっくりに聴こえたのです。
お笛の扱いも、寺井宏明譲りの、それはそれは美しい所作。
この日は残念ながら作り物のせいで、優雅な所作は見えなかったのですが、
笛は寺井家独特のとらえどころのない神秘的な音色で、
いつまでも聴いていたかったほど。

ツレの小早川泰輝さんは地謡以外では初めて拝見するのですが、
全体的にとても細やかに演じていらっしゃって、上手いシテ方さんですね。
舟に乗る時の足遣いや裾さばきも、女体らしい奥ゆかしさが感じられて、
将来が楽しみ。

シテの安藤貴康さんは、私が社会人になって初めて観た舞台(当時の研鑽会)で、
舞囃子《葛城》を舞われていた方で、「人間がこのように美しい動きをするものなのか」と
感動したのを覚えています。
いわば私にお能への扉を開いてくださった方。

地謡前列に座っていらっしゃる時の、扇を扱う丁寧な「間」を拝見すると、
とても素質のある方なのが分かる。

足のハコビはきれいだし、後シテの幕離れも颯爽としてカッコよかった!
(早笛の龍神出はこうでなくっちゃ。)
後場は全体的に良く、キレもあり、青翔会としては前回に引き続きハイレベルで楽しめた。





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