2015年10月26日月曜日

橘香会《石橋・大獅子》など

橘香会《石橋・大獅子》のつづき

仕舞《盛久》   青木一郎
  《芦刈》   梅若紀長→お休み
  《七騎落》  中村 裕
     地謡 梅若万佐晴 泉雅一郎 伊藤嘉章 青木健一

狂言《蝸牛》 シテ山伏 野村萬斎 アド主 月崎晴夫
       アド太郎冠者 石田幸雄

仕舞 《清経キリ》 梅若志長
   《駒之段》  梅若万佐晴
   《笹之段》  野村四郎
           地謡 梅若万三郎 伊藤嘉章 長谷川晴彦 梅若紀長

能《石橋・大獅子》   シテ尉/白獅子 遠田修
        ツレ赤獅子 梅若泰志・ 梅若久紀
       ワキ寂照法師 野口能弘
   アイ山の精 竹山悠樹
   栗林祐輔 鵜澤洋太郎 大倉正之助 徳田宗久
    後見 梅若万佐晴 中村裕 泉雅一郎
    地謡 青木一郎 加藤眞悟 八田達弥 長谷川晴彦
       古室知也 青木健一 根岸晃一 若林泰敏



見所では、《定家》の終演後、狂言終演後と、段階的に観客が減り、
《石橋》の演能前になると、正面席前方は閑散とした状態。
正面席に近いほど人が減り、脇正面がいちばん密集しているという、
普段とは逆の現象が起きていた。
それぞれの事情だから仕方がないけれど、なんだか演者が気の毒になる……。

狂言《蝸牛》は面白かった!
やっぱり萬斎さんは間狂言より、狂言のほうが生き生きとしている。
石田さんと月崎さんももちろん冴えていて、久々に狂言で大笑いした。


仕舞は初見の方が多く、物覚えが悪いわたしは顔と名前がなかなか一致しない(笑)。
紀長師は今回も休演だったので、まだ一度も拝見したことがない。
(たまたまなのか代演・休演が多い気がする。どうされたのだろう?)


仕舞《笹之段》
仕舞ではやはり野村四郎師が別格だ。
演者全員が裃を着用する凛とした空気のなか、
この日最高の出来だった地謡とシテとの見事な掛け合い。

万三郎師が地頭に入ると、地謡がぐっと引き締まり、
ミラクルな化学反応が起きたように芳醇でまろやかになる。

万三郎師と野村四郎師というタイプの異なる両雄が縦糸・横糸となって
古烏帽子をかぶり、髪を振り乱して念仏を唱え舞い狂う百万の世界を紡いでいく。

わが子への狂おしいほどの切々とした恋しさが伝わってきて、
思いがけず凄い舞台を拝見したことに胸が震えた。
これほど感動した仕舞は久しぶり。



能《石橋・大獅子》
シテの遠田修師も初めて拝見するけれど、かなり巧い方なのですね。
幕の出から上手い人の雰囲気をまとっていて、期待が持てそう。

観世流では通常、《石橋》の前シテは童子だけど、この舞台では尉だった。
前シテ・尉ヴァージョンも初めて拝見する。

面は小尉だろうか?
とても品が良く、そしてどことなく影のある神秘的な老人面だ。

ワキの寂昭法師に石橋の謂れを語る段、空高く雲の高さから滝が落ち、
瀧壺には霧が立ち底が見えない、目がくらむほど峻厳な巌に細く滑りやすい石橋が
掛かっている様子が、おどろおどろしく語られて目に浮かぶよう。

やがて老人は、有り難い影向があるから舞っていなさいと告げて立ち去る。

ここから中入りとなり、山の精の間狂言のあと、いよいよ乱序!
大倉正之助師もこの日が初見(初めてばっかりです)だけれど、打音が独特。
笛と小鼓がよかった。

後場の大獅子も迫力あったし、統率もとれてたし、
紅白獅子ともに飛び返り・飛び安座もよく決まっていて楽しめた。

おめでたい石橋なのに見所が寂しいというカルチャーショック。
判官びいきのような気持ちになり、盛大に拍手を送った。





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