2017年2月5日日曜日

生け花と能の会~装束仕舞《胡蝶》

2017年2月4日(土) 11時45分~12時45分  KITTEアトリウム
笹岡さんの生け花
その下の黒いパネルに見えるのが、三木さんの「波」をイメージした漆芸オブジェ
舞妓の舞披露
 春雨
 祇園小唄
 
生け花と能の会:「梅と胡蝶」
 シテの挨拶
「梅」を主題とした生け花パフォーマンス×小鼓演奏
 漆芸オブジェの展示
 笹岡&三木トーク(シテは楽屋で装束付け)
 仕舞《胡蝶》~梅の生け花に戯れる胡蝶をイメージして

 橋本 忠樹
 曽和 鼓堂
 
笹岡 隆甫(華道未生流笹岡家元)
 三木 啓樂(漆工芸家)
 
 

二月初めの週末は大好きな京観世三昧♪
土曜日は、「京あるきin東京2017」のオープニングイベントへ。

椅子席がほとんどなく、しかも大半が関係者席なので立見だったのですが、
舞妓さんの舞も、「生け花と能の会」も密度の高い内容で大満足!


【舞妓の舞披露】
だらりの帯を締めた舞妓さん二人が立方、芸妓さんが地方(三味線と歌)を担当。
舞妓さんがとても小柄で(150センチくらい?)可愛らしい。
芸妓さんは妖艶で美しく、歌もうまい。


《春雨》は薄紫の紗の傘で舞うもので、ヴェールの向こうに舞妓の姿が見え隠れして、霞のような春雨のなかで戯れる趣き。

《祇園小唄》は「しのぶ思いを振袖に祇園恋しや だらりの帯よ」と祇園らしい風情。
灯りが映る夜の石畳を通り過ぎるおこぼを履いた舞妓さんの後姿が目に浮かぶ。

先の先まで行き届いた指の表現。
地髪で結いあげた髷のつややかさ。

そして何よりも、舞のはじめと終わりにする舞妓さんのお辞儀のきれいなこと!
身体の動き、しなやかさ、しとやかさ。普通の女性と全然ちゃう!
さすがは花街、観ていて心がとろけそうになる。


【生け花と能の会】
さて、主催者挨拶のあとは、お待ちかねの能の会です。

橋本忠樹さんはお顔とお名前だけは存じ上げていましたが、
舞は未見だったので楽しみにしていました。

黒紋付姿の橋本さんのご挨拶のあと、
橋本さんはいったん幕入り(たぶん楽屋で装束付け)。

次に、小鼓方の鼓堂さんが登場し、地謡前あたりに着座。
鼓堂さんは若草色の色紋付にベージュの袴という春らしいスタイル。
舞台下手前に置かれた花瓶に向かって、鼓を打ち出します。

すると、華道家の笹岡さんがあらわれて、花瓶に花を生けていきます。
いわゆる「生け花パフォーマンス」。

大きな梅の枝から順に、梅4本、椿の葉、菜の花、ピンクのバラなど、
お弟子さんらしき二人の女性から手渡された花木を次々と生けていきます。

パフォーマンスといっても、気負いはなく、笹岡さんらしい、さりげなく、自然な所作。


そして、笹岡さんの生け花の所作に合わせて、鼓堂さんが鼓を打っていく。

わたしは地裏にあたる場所で立見をしていて、
鼓堂さんを左斜め後ろから見るかっこうになったのですが、
いつもとは違うアングルからとらえる囃子方さんの姿は新鮮。


鼓堂さんの掛け声の時の、あごの筋肉の動かし方が、
崖に立ち、月に向かって吠える孤狼を思わせました。

「月」はシテであり、この場合は生け花の「花」なのです。


その後、笹岡さんと三木さんのトークを経て、いよいよ仕舞《胡蝶》。


地謡はどうするのかと思ったら、二人の能楽師さんも登場。
ひとりは坂真太郎さんかな? もうおひと方は分からず。


仕舞とはいえ、
シテは蝶冠、灰青色の長絹(露は朱)に腰巻という、きちんと装束をつけた出立。

薄桃地に大胆な蝶をあしらった腰巻着付は、しっとりした生地だったので、もしかすると通常の縫箔ではなく、女性の着物のような装束だったのかも。

装束の工夫が、蝶の薄い翅のような舞姿の軽やかさを引き立てていた。


面は、増だろうか。
美形の女面で、梅の生花に彩られた舞から甘い春の香りが漂ってくるよう。

謡も素敵だし、もっと、ずーっと観ていたかった。



生け花とのコラボは、仕舞だけの舞台とは一味違う独特の世界でした。




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