2016年6月18日土曜日

第三回東京真謡会大会

2016年6月18日(土)  分林道治師社中会    国立能楽堂

番外仕舞《雨之段》  片山九郎右衛門

能《羽衣・和合ノ舞》
    ワキ 福王和幸 ワキツレ 村瀬提
    杉信太郎 成田達志 柿原弘和 観世元伯
    地頭 片山九郎右衛門
    後見 分林道治

他に能《清経》、舞囃子8番(柿原孝則さん5番担当)、仕舞・素謡・連吟・番外仕舞など。
地謡は関西陣+銕仙会+梅若会から角当直隆さんが参加。




セルリアンタワー15周年記念公演以来、心待ちにしてきた番外仕舞!
7~9月の舞台までに九郎右衛門チャージができて有り難い。


九郎右衛門さんの仕舞は、
ほとんど静止しているような微少な動きのなかに、
想像力をかき立てるさまざざなものが凝縮されていて、
わたしにとっては能10番分にも匹敵するほどの価値のあるものなのです。


能《羽衣》の直前に番外仕舞が組み込まれていたため、仕舞の最中でも人が大勢でガサゴソと見所に入ってきたり大声で話し続ける人が多かったりと、わたしが経験した中でワースト5くらいの騒々しく雑然とした状態だったのですが、九郎右衛門さんが舞う空間だけは異次元に属していて、何ものにも侵されず、清浄で閑かな時間が流れていました。



仕舞《雨月・雨之段》

澄み切った秋の夜空。
時雨を思わせる松風の音。

庭には吹き散らされた木の葉が積もり、金色の月の光が降り注ぐ。


月光で満たされた舞台の上で静かに、ゆったりと舞うシテの姿。
一瞬、一瞬が露のしずくのように煌めきながら弾けてゆく。


どの瞬間をとっても、
わずかな弛みも、崩れもなく、

舞台空間に気を漲らせつつも、
余分な力みがまったくない。

肩の力を抜いた高度な緊張感。



積もる木の葉をかき集め 雨の名残りと思はん


この落ち葉をかき集める型に枯れ寂びた趣きがあり、
露に濡れ、紅葉色に染まった袖の色彩や湿り気さえ感じさせる。



九郎右衛門さんが織りなす禅竹の世界。
なんて、きれいなんだろう!

充実した身体が生み出す精巧な表現力に圧倒された。


この日の九郎右衛門さんからは、
1年前には感じなかった透明感のある風格のようなものを感じた。



そして、能《羽衣》で地頭を勤めたあと、片山家当主は翌日の福岡での白式神神楽に備えて国立能楽堂をあとにしたのだった。



能《清経》のシテは分林道治さんの御親族で、有名な実業家の方。
舞台馴れしていて、装束も豪華。とてもきれいでした。


舞囃子《邯鄲》を舞われた方は、たしか昨年の佳名会・佳広会でも、舞囃子《鵺》(シテ片山九郎右衛門)で、大鼓を打っていらっしゃったように記憶。
この日もセミプロレベルのとても魅力的な舞を披露されていました。



お囃子もゴージャスで、とくに元伯×ナリタツの組み合わせは嬉しいかぎり。
序ノ舞の序の小鼓と太鼓の掛け合いが凄くカッコよかった!!






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